印度學佛教學研究
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仏伝文学の研究
王 丽娜
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2018 年 66 巻 3 号 p. 1050-1055

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抄録

仏陀が入滅した後,彼の生涯が弟子たちによって記録されている.経蔵の小部及び律蔵の中に,仏陀の伝記が書かれている文献が多く残っている.これら文献を分析する際,仏伝が聖典のどこに収められており,どのような文脈で説かれているかを考察した.その結論は次のように要約できる.

1. 仏伝には冒頭に偈頌を置き,その後に長行を置く形式と,偈頌と長行の混交からなる形式とがある.

2. 内容から見て,仏伝は当初断片的な記述に過ぎなかったものが,次第にそのあらすじが整えられ,明快なものになっていることがわかる.また時代が降るにつれ,様々な内容が付け加えられ,人物の描写も装飾的なものになっているという変化の過程を認めることができる.

3. 仏陀の姿も,素朴な修行者から,全能な宇宙の神として描かれるようになった.

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© 2018 日本印度学仏教学会
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