印度學佛教學研究
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シヴァ派文献において改変引用される仏教文献の偈――『タントラサッドバーヴァ』第一章より――
房 貞蘭
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2020 年 68 巻 3 号 p. 1124-1128

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抄録

シヴァ教Trika文献の一つTantrasadbhāva(以下TaSa)には,三つのネパール梵語写本が現存している.現行のTaSaには,Siddhānta,MantrapīṭhaやKaulaといった他のシヴァ教伝統との並行関係などが見られ,それらの歴史的背景をうかがうことの出来る記述が豊富に含まれている.さらに,この文献はインド後期密教,特にサンヴァラ系密教との関係も近年の研究により明らかにされつつある.シヴァ教の教説をモデルとして密教がそれを依用発展したという見方が主流である.しかしながら,シヴァ教とインド後期密教との関係を考える上で,シヴァ教文献の中の仏教からの影響も考える必要があるだろう.本稿では,その一例として,TaSa第1章において,仏教典籍所説の偈が改変引用されていると考えられるいくつかの偈を取りあげ,考察した.

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© 2020 日本印度学仏教学会
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