印度學佛教學研究
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バリ・ヒンドゥー教のサンスクリット儀軌Vedaparikramaの特色について
山口 しのぶ
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2022 年 70 巻 3 号 p. 1063-1070

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抄録

 インドネシア,バリ島にはインドおよびジャワから伝わったヒンドゥー教の伝統が残っており,ヒンドゥー寺院や信者の家庭では頻繁に儀礼が行われる.そこにおいて,しばしばサンスクリットで記された儀軌が使用されるが,それらの儀軌のうちVedaparikrama(略号 VP)は聖水の制作,およびシヴァ神をはじめとするヒンドゥー神への礼拝を述べた儀軌である.VPは1.浄化の次第,2.供物と身体の浄化,3.儀礼用の聖水の準備,4.調息,5.シヴァを瞑想により生み出す行為(śivīkaraṇa),6.シヴァ神の確立,7.灰と装飾品を身に着けること,の7つの次第からなる.本稿で中心的に取り上げた5の次第では,瞑想によりシヴァ神を生み出す行為が述べられる.ここでは僧は瞑想により,自身の心臓にあるシヴァのアートマンを身体の外に導く.その後僧は,シヴァ神の本質としての甘露が,僧自身の喉を通って体内に流れ込むのを瞑想し,シヴァ神と一体化を試みる.さらに僧は自身の心臓に八葉蓮華を瞑想し,そこにサンスクリットの母音,子音,九曜などの種子をその蓮華に布置する.5では,最後にシヴァのアートマンを僧の心臓に戻す行為が述べられる.現代のバリ・ヒンドゥー儀礼では,VPは専ら聖水制作のため用いられるが,儀軌にはシヴァ神との一体化を含む瞑想がのべられ,またその瞑想には種子の布置などタントリックな要素が多分に見られるのである.

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© 2022 日本印度学仏教学会
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