印度學佛教學研究
Online ISSN : 1884-0051
Print ISSN : 0019-4344
ISSN-L : 0019-4344
シャイヴァ・シッダーンタにおけるビンドゥとカラーの関係について
斉藤 茜
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 71 巻 3 号 p. 975-980

詳細
抄録

 シヴァ教二元論シャイヴァ・シッダーンタにおいて,ビンドゥ(bindu)は森羅万象と言語の質料因として重要な位置を占める.9~10世紀頃のカシュミール出身と目される思想家シュリーカンタの詩節のみから成る著作Ratnatrayaparīkṣā(『三宝の考察』以下RTP)は,三宝即ちシヴァ,シャクティ,そしてビンドゥの考察を主題とする作品だが,最も紙幅を割かれるのはビンドゥであり,シヴァとシャクティもビンドゥとの関係の上から議論される.一方でそこには,明らかにさまざまな過去の思想伝統が混ざり合った痕跡があり,その複雑さが「ビンドゥとは,マーヤーより上位の,シヴァ教的な根本物質であって,同時に言葉の源である」以上の考察をこれまで阻んできた.本稿はシャイヴァ・シッダーンタにおけるビンドゥ思想を形成した基になる思想をRTP及びシャイヴァ・シッダーンタの諸聖典に基づきながら分析することを目的とし,以下の三点を考察する.(1)〈六道〉のひとつでありビンドゥの様態とされる〈カラーの道〉とは何か.(2)〈カラーの道〉は,他の〈非表示者〉〈表示者〉の五つの〈道〉をどのように遍充するのか.(3)五カラーを内包するビンドゥ相とは何か,そしてそれがどうしてシヴァのシャクティと呼ばれるのか.これに関連して,シヴァの三つの態を作るビンドゥと,その中で特に〈享受〉態に相として現れる〈ビンドゥ〉との関係を検討する.

著者関連情報
© 2023 日本印度学仏教学会
前の記事 次の記事
feedback
Top