情報通信政策レビュー
Online ISSN : 2435-6921
学術論文
オンライン上の児童のプライバシー保護の在り方について
-米国、EUの動向を踏まえて-
入江 晃史
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2013 年 6 巻 p. E17-E46

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抄録

最近、米国や欧州連合(EU)において、オンライン上の児童のプライバシー保護の在り方が議論されている。
米国では、1998年児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)に基づく連邦取引委員会規則の改正提案が検討されており、その過程では、「個人情報」の範囲等のCOPPAの射程の問題の他、セーフハーバープログラムの実効性の確保等規制の合理化・実効性の確保が議論されている。EUでは、2012年1月25日、欧州委員会から、1995年データ保護指令を改正する「一般データ保護規則案」が公表され、その中にオンライン上の児童のプライバシーを保護するための規定が盛り込まれている。
児童が気軽にインターネット上のサービスを利用する昨今、オンライン上の児童のプライバシー保護が重要であることに異論は殆どない。
日本には個人情報保護法及び同法に基づく各省庁のガイドラインは設けられているが、これまで、児童のプライバシー保護に特化した形での政策的対応はなされてこなかった。
そこで、本稿では、オンライン上の児童のプライバシー保護のため、今後、日本が政策的対応を行うに際しての検討課題を提示する。具体的には、官民による共同規制という規制の在り方の示唆、児童の年齢に関する考え方等について一定の視点を提示する。
この分野における立法政策の在り方について、官民の早急な検討を期待したい。

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© 2013 総務省情報通信政策研究所
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