抄録
本論は、神戸ハーバーランドを調査対象地とし、都市景観を構成する造形物がどのようなメカニズムで都市の魅力に関わる演出に貢献するのかについてをテーマとする。調査と分析の結果、従来からの造形物に対する類型には当てはまらない多数の事例の存在や、都市空間においてハイ・カルチャーの象徴的な位置づけを得てきた美術作品が、サブ・カルチャーの代表事例といえるショッピング・モール型ディスプレーデザインによって、それらと等価、並列にされてしまう現象等をとらえることができた。神戸ハーバーランドにおいて、都市景観を構成する造形物は、脱類型化と等価、並列化によって、都市の魅力に関わる演出に貢献しているのである。