抄録
此の短編は他働放電法に因る新式電氣收塵機を紹介し電氣收塵法の理論を考究するのが目的である。電氣收塵法は要するに誘電現象の一應用に過ぎぬが故に、筆者は主に誘電現象を説明してから電氣收塵法に於けるフユーム、フオンの發生及び其の沈積を説く。
途中絶縁體に就いても二三件述べる。
筆者の考案せる新式電氣收塵機は在來の者より極電壓を底下し得ることゝ整流装置を要せない二つの主なる特徴がある。
誘電現象を筆者は瓦斯體の電離と同じく衡突に依る電離作用より説明を試みる。かくすることによりで誘電現象を一層明瞭に了解し得られ又レシヂユアル、チアーヂ及誘電體の電氣的破壞等の諸現象をよく説明し得られる。
電極的絶縁に付いては絶縁物夫れ自身の外に絶縁物を包む瓦斯體或は液體の状態を考慮せねばならないことが衝突に因る電離作用により容易に證明し得る。
電氣收塵法に於て煙塵の收積さるゝは各煙塵微粒子の表面に顯はれた誘電現象の電荷と兩電極間の牽引反撥の合力に基因する。そして此の合力と電氣風の方向及び送風の方向が一致した時其の能率最良である。