電氣學會雜誌
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電氣爐設計の原則
川崎 舍恒三
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1928 年 48 巻 476 号 p. 302-352

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抄録
本編は電氣爐又は一般に電熱器具設計に關する理論を述べたるものして、第一章に於ては從來電氣爐及び電熱器具設計に關する技術が他の一般電氣器具の夫れに比し甚だ遜色ある事實を指摘し、本研究の目的は斯の方面の技術に關し工學的基礎を樹立せんとするにある旨を述べたり。第二章は實用上許容し得べき二つゆ假定の許に電氣爐周壁の諸幾何量に關する理論を取扱ひたるものにして、著者の創意に成る新座標を用ひ是等の解柝式を最も普遍的なる形に表はせり。又數式計算法に代用して甚だ便利なる圖式計算法を例示するため一つの實例を擧げたり。第三章に於ては一般に電流の通過せる電氣爐周壁につき定常状態に於ける温度熱流及び蓄熱量の分布状態を表はす解柝式を誘導し且つ圖表を以て是等を表示し以て設計者若くは使用者に重賓なる指針を與へたり。第四章に於ては二種以上の材料より構成せらるゝ周壁に就き等價物理定數を考へ、又定常状態に於ける蓄熱量と爐内温度上昇との比に實驗式に依る補正を施したる見懸け熱容量を引用することに依つて簡單なる熱關係式を誘導せり。第五章は間歇的に使用する電氣爐に適用し得べき實用的熱方程式を與へたるものにして、周壁の熱抵抗と周壁及び裝入材料の見懸け熱容量との相乘積を以て表はさるゝ可變性時定數を引用し以て過渡期に於ける温度、熱流及び蓄熱量を單一時素を以て表示することを得せしあたり。第六章に於て著者は材料經濟の方面より電無爐の外形、周壁の厚さ及び材料の保温性等の選定に際し考慮せらるべき諸條件を考察し、又供給電力の大さが生産費に及ぼす影響を論じてある。第七章は實例を擧げ順序を逐ふて前各章の應用を例示し最後に本設計に基きて製作せられたる電氣加熱爐の實驗結果を報告せり。第八章は全編の結論にして本編の眼目は極めて普遍的なる解柝式を以て周壁の幾何學的形状を表示し以て數式計算を簡易ならしめたるに存する旨を述べ、且つ是等の諸式を用ひて計算されたる數値は實驗値と大體に於て能く一致し寧ろ材料の有する物理性の不等率の方がより大なる誤差を招致する恐れある旨を附言せり。
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