電氣學會雜誌
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日本電力30,000kVA非同期進相機の試驗に就て
松岡 英長
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1929 年 49 巻 497 号 p. 1346-1365

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抄録
日本電力の東京變電所に最近据付られたる30,000kVAの非同期進相機は芝浦製作所で製造せられた。これは非同期進相機として本邦最初の國産品であるのみならずその容量に於て世界の記録を破つておる。本文は主として此の進相機の試驗成績を進相機の概要、起動裝置、V曲線、負荷試驗、損失測定、單相運轉試驗、電壓動搖と其の防止策及同期進相機との比較等の項目に亘り叙述してゐる。
論文の重心は進相機の端子電壓の動搖と云ふ問題であつて、これは進相機の三相二次勵磁電流が大さに不平衡ある場合又はその電流の波形が正弦波より歪める場合に起るのであつて、電流の大さの不平衝は滑周波數(sf)の二倍の周波數の電壓動搖を起し,又勵磁電流に第三高調波が含まれておると、これ又同し周波數の電壓動搖を起す事を述べその改善策を列擧しておる。猶從來餘り類例のない試驗としては非同期進相機と亘長301粁電壓154kVの送電線との結合したる自己勵磁特性を測定しておる。其の方法は進相機を運轉中送電端に於て關閉器を開くのであつて此時進相機は線路の充電電流を負ひ自己勵滋をなし異常電壓を生ずるのである。この異常電壓は進相機の一次勵化曲線及線路の充電特性曲線より圖示的に求められる事を述べてゐる。終りに非同期進相機と同期進相機とを比較して前者が、起動の容易なると、短絡電流の少きと運轉の安定なる事とに於て優れ能率、價格の點では後者に一歩を讓ると述べておる。
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