抄録
一般に電極の大さに比し間隙相當大なる場合の火花閃絡電壓は,同一間隙にあつても電極の形状及び大小に依って非常に異つた値を生ずるが,之を火花發生直前の空間電荷の配列,電界の有樣より見て二つの場合に大別し得る事を述べた。其の一は平均電界23.5kV/cm程度の高い電界より火花の生ずる場合であつて,他は平均電界約5kV/cm程度の低い電界でコロナ線條の助けを得て火花となる場合である。
そして此の二つの機構による火花外觀の差異を論じ,前者即ち高電界より生ずる火花は直線状に近く後者即ち低電界より生ずる火花はZig-Zagの徑路を取る事を示した。尚此等の事實より進んで近距離の場合の火花成立の過程を論じた。