電氣學會雜誌
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熔融電氣製錬爐設計の基礎に關する研究
向山 幹夫
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1931 年 51 巻 515 号 p. 343-356

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抄録

輓近電氣化學の進歩に伴つて,電氣がこの化學方面に使用さるる傾向が大きくなつた。其の中電熱として,之を利用する所謂電熱化學工業は,最も目覺しい發達をなしつゝある。例へば窒素固定工業に於ける炭化石灰の製造,製鐵工業に於ける製銑及び製鋼作業の如きものである。
之等の工業に於ては,電熱を使用する電氣爐が最も重大なる部門を占めて居る。此の電氣爐には種々なる種類があつて,多くの工業の目的に應じて相應の發達をして居る。然し其の理論的研究,殊に爐の設計に關する研究は,電氣機械に比すれば未だ其數甚だ少なく,先づ幼稚なる域を脱しないものと云へる。
比較的簡單に取扱ひ得る電熱器とか,抵抗體を熱源とする爐に就いては,其の研究の見る可きものが少くないが,電力を最も多量に使用する熔融製錬爐には,その設計に關する研究の發表が殆んどない状態である。
著者の述ぶる所は,此の熔融製錬爐の設計に關する研究である。即ち此の種の雷氣爐に於ける電力容量,電極の大きさ並に電氣爐容積の關係及び之を決定すべき因子に就いて論じ,以て此の熔融製錬爐の設計に關する基礎的法則を定めたものである。
(一) 電極には,その直徑に應ずる短絡電流が存在し,之に依りて電極の大きさが定めらるべきこと。
(二) 或る電力に應じて電極の大きさxと熔融體直徑yとの間には次の關係あり。
y=mx+k
以上の關係を基礎として電氣製錬爐は其設計を行ふべきである。

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