抄録
結晶發振子を電氣的等價回路(第一圖)に置くとアドミッタンスとして次式を得る。
Ye=1/S(K2/K1+K2)2[1/1+n2-j n/1+n2]+jωK1 k2/K1+K2
内n=1/S[ωN-1/ω(1/K+1/K1+K2)]このリアクタンス對抵抗の比を無名數のnと置く事は筆者の創意であつて,そのために總ての解析的處理を簡略ならしめる。即ち周波數の變化をこのnの變化のみに就いて考へると圓線圖が簡單に誘導される。即ち上式の大括弧中の實數部x=1/(1+n2)と虚數部y=-n/(1+n2)との間でnを消去すると
(x-1/2)2+y2=1/4の圓の方程式を得る。他の部のωは一定として計算しても實用上何等の支障がない。よつて接續の如何に關せずnを消去せる關係は圓となる。同樣グリッド•リーク•コンダクタンスgを消去した場合も圓となるもので,これで内部容量を含む結晶回路の圓線圖が決定する。
陽極負荷側も適當な線圖が考へられるから,二線間を眞空管の内部抵抗で連結して發振作用を平衡せしめるのである。この場合この内部抵抗はElaetic couplingとなり最低値あり,それ以上は必要に應じて陽極電流が飽和限界値を越す事によりて増加し,同時に振幅を決定さすものである。周波數の變動限度はこの圓線圖方面から最も合理的に決定される。