日本臨床外科学会雑誌
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症例
異時性肝転移を切除した多発性内分泌腫瘍症2A型甲状腺髄様癌の1例
落合 秀人鳥居 翔福本 和彦神藤 修深澤 貴子鈴木 昌八
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2016 年 77 巻 4 号 p. 751-757

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抄録

症例は75歳,女性.53歳時に甲状腺髄様癌(medullary thyroid carcinoma:以下,MTC)および両側副腎褐色細胞腫を発症した多発性内分泌腫瘍症2A型と診断され,甲状腺全摘術と両側副腎亜全摘術を施行された.その後20年間再発兆候なく,当院内分泌内科に紹介となったが,初回手術後21年目の腹部超音波検査にて肝S3に腫瘤を指摘された.腹部CT検査では,肝S3に石灰化を伴う20mm大の多血性腫瘍を認めた.血中CEA・カルシトニンも上昇しており,MTCの肝転移再発と診断した.当科で肝外側区域切除術を施行し,切除標本内に2個の腫瘍が指摘された.病理組織学的にもMTCの転移と診断された.肝転移巣切除後34カ月が経過し,無再発生存中である.甲状腺髄様癌の異時性肝転移に対して根治切除しえた症例の報告は稀であり,文献的考察を加えて報告する.

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