電氣學會雜誌
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正極放電に關する一研究
鹽 谷昇
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1934 年 54 巻 555 号 p. 1062-1067

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抄録

先に針對平板電極にて針正なる如き場合の放電にて,針より先づコロナ線條が出,之に續いて光溝が發生し,之が火花閃絡完成に重大な影響を及ぼす事を報告したが,本篇にては此の正光溝の發生條件又は機構,及びその性質等を明かにすべく引續き行へる研究結果を總括して述べてゐる。即ち光溝が最も容易に發生する條件,及びその發生に絶縁物,氣流,濕度等の及ぼす影響等を調べた。その結果負電荷の存在する事と單に靜電的に考へた高電界強度以外に,正極前に空間電荷等による動的な高電界が生ずるを必要とする事が判つた。この事は高壓工學殊に絶縁上注意すべき點であつて,靜電的に考へて安全と思はれる時にても,僅の状態の變化にてこの負空間電荷による高電界が生じ,從つて光溝が容易に發生し,著しく低い電壓で閃絡をなす場合のある事を指摘した。
尚光溝の單極發展性,導電性,不整性,發熱等の固有の性質に就ても述べてゐる。

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