電氣學會雜誌
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鰮油•石炭酸樹脂•アスファルト系絶縁塗料
稻井 猛
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1939 年 59 巻 616 号 p. 600-605

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抄録
鰮油を減壓にて分溜して得た塗料基礎劑に石炭酸系合成樹脂竝にアスファルトを配合し,トルオール溶劑にて絶縁塗料を試作する。150°C,1hの燒付塗膜に就き物理化學的性質を吟味して,良好組成範圍を決定し,その中心たる鰮油:石炭酸樹脂:アスファルト=4.5:4:1.5なる配合率の塗料に就き燒付條件を檢討して190°C,50min.が最も適當な事を認めた。斯くして決定した最良條件の塗膜に就き耐熱性を檢討する目的にて,更に1h加熱してその變質を吟味し次の結果を得た。即ち265°Cの加熱にて絶縁性を失ひ,186°Cにて可撓性不良となる。HNO3(比重1.38)に對しては220°Cにて特に作用を受け易いものとなり,HCl(10N)には140°C,NaOH(10N)には225°Cで腐蝕大となる。200°Cの變壓器油,沸騰水及びトルオール浸漬に對しては夫々267°C.270°C及び264°Cにて劣化する。又熱天秤に依り加熱中に於ける重量變化を測定した虚,360°Cにて減少率極大となつた。尚金屬顯微鏡にて塗膜表面及びその腐蝕状況を觀察吟味した。
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