抄録
2001年に加工サファイア基板を用いた高効率·高出力のInGaN系近紫外LEDが開発され、これを白色蛍光体の励起用光源とした白色LEDの開発に期待が寄せられている。そこで我々は、高演色の白色LEDの実現を目的として、この高効率·高出力InGaN系近紫外LEDとZnS系をベースとした白色蛍光体を組み合わせた白色LEDを作製し、その光学的特性の評価を行った。実際に白色LEDを作製してその評価を行う前に、蛍光体の励起用光源であるInGaN系近紫外LEDの注入電流依存性と温度依存性の測定を行ったところ、注入電流及び周囲温度の増加に伴って、近紫外LEDのピーク波長が長波長側へシフトしていることが分かった。この波長のシフトは蛍光体から得られる白色光の色度に変化を引き起こす可能性があり、近紫外LEDを蛍光体の励起用光源として利用する際、考慮しなければならない重要な特性であると言える。