照明学会 全国大会講演論文集
平成14年度(第35回)照明学会 全国大会講演論文集
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静岡スタジアムエコパの照明設備
森 司久保 徹周小松本 千秋
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p. 79

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抄録

1. はじめに
静岡スタジアムは、静岡県の袋井市と掛川市にまたがる小笠山総合運動公園のメイン施設で、サッカーワールドカップの会場となる他、2003年の静岡国体の会場としても使用される予定となっている。
観客席は、プレーを見やすい2層式で、収容人員は51,349人となっており、さらにサッカー開催時にはスタンド内に収納されている可動式スタンド(5,236席)が陸上トラックの近くまでせり出し、陸上競技兼用でありながら、サッカー専用スタジアムのような臨場感を実現している。(図1)
2. 照明設備の概要
‹照明器具の配置›
投光器は、屋根の先端部分にライン状に配置しているが、サッカー開催時は、ゴール中央部から左右15°の範囲を消灯し、コーナーキックの際にゴール付近にいる競技者へのグレアを抑制している。(図2)さらに、投光器の取付高さは、JISの照明基準を十分に満足しており、選手へのグレアを低く抑えている。また、TV撮影に配慮して、メインスタンド側には屋根の後方にも投光器を設置し、陸上競技のトラックやサッカーコートのタッチライン付近にいる競技者の鉛直面照度を確保している。
‹照度設定›
サッカー開催時は、2kW投光器280台によりFIFA(国際サッカー連盟)の基準である水平面照度1500lx以上を満足している。また、陸上競技開催時は、2kW投光器456台により日本陸上競技連盟の基準である水平面照度1500lx程度を満足している。また競技レベルに合わせ1000lx、500lx、250lx(2パターン)の切り替えも可能となっている。
‹光源·器具›
光源には、高演色かつ高効率であるショートアークの2kW高演色形メタルハライドランプ(Ra90)が主として使用され、ハイビジョン放送のための要件(Ra80以上)を満足している。さらに、寿命の長いロングアークの2kW高演色形メタルハライドランプを併用し、一般開放時(水平面照度500lxまで)に使用するなどランプ寿命の平滑化にも配慮した。
‹パニック防止›
停電時の照明は、非常用発電機(2500kVAガスタービン)により2kW瞬時再始動型投光器8台(フィールド用)と400W高圧ナトリウムランプ投光器24台(観客席用)を点灯させ、サッカーコートで約50lx、観客席で約30lx確保し、パニックの防止を図っている。
3. おわりに
本施設は、JリーグJ1チームを2チーム擁する静岡県のシンボルともいえる施設であり、本年6月開催のワールドカップ開催後も県下のみならず全国のサッカー熱を盛り上げるため、活用が期待される。

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