主催: 社団法人 照明学会
生体リズムが弱体化した高齢者に対して日中に高照度光照射を行なうことにより、日中の覚醒度が上昇し、夜間睡眠が改善されるという報告があるが、高齢者福祉施設の現場で行われた研究報告は少ない。本報では、高齢者福祉施設に入居中の昼夜逆転傾向のある高齢者3名(被験者A:84歳女性、被験者B:95歳女性、被験者C:83歳女性)を対象に高照度光照射の影響を調査した。評価方法は介護スタッフによる主観評価で行なった。結果は、被験者Aについては夜間睡眠・日中覚醒度・車椅子の姿勢・声掛けに対する反応に改善がみられ、被験者Bについては夜間睡眠・日中覚醒度・イベントへの参加に改善がみられ、被験者Cについては日中覚醒度・食事摂取量に改善がみられるなどすべての被験者に何らかの改善傾向がみられた。これは居間全体を明るくする照明手法を用いたため、すべての被験者が生体リズムの調整に必要とされる光量を確実に浴びることができたことが要因のひとつであると考えられる。