抄録
ビル屋上や道路沿いなどに設置されている屋外広告看板は、昼間においては太陽光により照射され、「物体色」として我々には知覚されている。一方、夜間においては、前方下部(あるいは上部)に設置された光源によりライトアップされ、太陽光の下での昼間の見え方とは異なった見え方をする。すなわち、夜の闇の中であたかも看板そのものが光っているかのように見えるのである。広告は、そこにある情報を広く多くの人に向けて発信することが目的である。従って、夜間における看板の、照明によるこの様な見え方の変化、言い換えると照明による心象・心理効果は広告のPRという点において大変魅力的な要素の一つである。それゆえ、このような昼間と夜間における照明による見え方の変化に関する基礎的データは、今後の看板設計を考える上で極めた有用となる。そこで本研究では、視覚系が、明順応から暗順応へと移行する過程において、ライトアップされた視対象物表面の見え方の推移について測定し、検討することをその目的とした。