抄録
RGB色LED照明と他の汎用照明を使用した場合について、老視への影響の違いを調べるために近点距離を測定し、その長短の要因を実験により検討した。
研究結果は次のようになった。
(1)汎用照明と同色度・同照度に調整したRGBLEDの分光特性においては、RGBLEDの分光放射輝度の方が他の照明よりも高いピーク値を示していることが分かった。
(2)眼球模型の映像写真においては、映像の黒と白の境界において、他の照明よりRGBLEDの方が赤い虹模様が太く鮮明に映っていることが分かった。この結果より、RGBLEDの示す高い分光放射輝度が近点距離に影響を与える可能性があると推測できる。
(3)各年齢層の被験者20名の近点距離の測定結果においては、他の照明に対するRGBLEDの平均近点距離が5~12%短縮することが分かった。
結論として、各照明色の白熱灯と蛍光灯、LED電球と比較して、RGB色LED照明を用いた場合の近点距離は5~12%短縮できることが分かった。分光分布の解析と網膜相当映像の撮影により、RGB色LED照明の示す分光放射輝度の高いピークが近点距離を短縮する要因であると推測することができた。