足趾壊疽は,95%が粥状硬化性動脈閉塞症(ASO)で,その80%以上は糖尿病(DM),60%以上が維持透析(HD)である.残り10%は関節リウマチや強皮症などの膠原病随伴血管炎,バージャー病,shaggy aorta syndromeなどが占める.これらは安静時疼痛を伴い壊疽の中枢進展では,大切断が行われ,近年はDM/HDがその主役である.DM足壊疽には神経性,虚血性(ASO),混合性がある.虚血性の単独は少なく,神経性は種々の知覚障害が重畳し,足変形と感染を生じ易い.混合型が最も多く,虚血(ASO)と感染の相乗効果により感染・壊疽が急速に進行し,感染抑制困難から大切断に至る.大切断は望まれる治療ではなく,患者QOLは著しく障害される.虚血に対する血行再建,感染創管理,組織移植術など専門的な救肢治療により5年で90%以上の救肢が可能であることからより救肢治療専門医の育成が急務である.