医療が進んでも永遠のテーマであり続ける身体と心の痛み.線維筋痛症患者の痛みはなぜ理解されにくいのか.患者であろうとなかろうと,人は身体を使っての表現者である.患者はまず自分が表現者であること,そのためにはまず自分について知らなければならない.これまで,「1:患者の本音」「2:患者と医療者とのミスコミュニケーション」「3:患者の実態」について調べてきた.
それらを踏まえ,本稿では「患者力」の要諦を以下の5つに分け,それぞれの段階について考察したい.
1:表現者としての自分について学ぶ力.大事な情報(事実・Fact)と物語は当事者が持っていること,複雑性,多様性である以上,正解はないということを理解する.
2:自分の症状を医師に伝えるコミュニケーション能力.
3:周囲の人に自分の状況を伝え,助けを求める力.
4:自分の状況を判断して,自分で乗り越える力.セルフマネジメント力と成長モデル.
5:持続的に自分の状況を把握し,実存的意義を見失わずに生きる力.レジリエンス.