2021 年 19 巻 1 号 p. 31-39
日常臨床で経験する唾液分泌過多症は実質的分泌過多がなく,嚥下機構に障害ないにもかかわらず,通常の無意識的唾液嚥下ができず常時意識的嚥下となって,分泌過多感にこだわる強迫的な病態である.本症に対してはコンセンサスの得られた治療的対処法が確立されておらず各施設において模索の現状にある.ここでは当科での唾液分泌過多症の治療の現状を紹介するとともに,外来森田療法やロゴセラピー的な対応で完全寛解に至った症例を報告し,また唾液分泌過多症について流涎症や呑気症との比較も含めて若干の考察を加えた.