画像電子学会誌
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論文
MPEG-2エンコード時の画紋分離による動画像スクランブル手法
高橋 克直富永 英義杉浦 麻貴横井 摩優寺島 信義
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2001 年 30 巻 6 号 p. 695-705

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抄録

本論文では, 動画像識別情報として提案している画紋を, MPEG-2エンコード時にその動画像から分離する動画像スクランブル手法を提案する. 提案手法では, Intra(フレーム内圧縮)フレームの各slice層の先頭ブロックのDC予測値を, 各フレームの内容に依存した値, 画紋値から作成される値を用いて操作することで実現している. 提案手法により作成されるMPEGストリームは, MPEGシンタックスを満たしており, 通常のMPEGの再生機で再生可能であるが, 分離された画紋を用いずに再生すると画質劣化した動画像が再生される. MPEG-2の標準化に用いられた9テストシーケンスに対し、通常のMPEG-2エンコードでは平均PSNR(Peek Signal Noise Ratio)が31. 9dBのところ, 提案手法を適用すると, 平均PSNRを20. 3dBへと約11. 6dBの画質劣化を生じさせることが可能である. また, 提案手法により, 画紋以外にDC予測値への操作法を表すための付加情報分の情報量が増加するが, DC予測値のVLC(Variable Length Coding:可変長符号)長の削減ビット数を示し, 付加情報の増加ビット数を上回ることを実験的に示す.

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© 2001 一般社団法人 画像電子学会
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