動き劣化画像の動き劣化長さと方向を推定するために, パワースペクトル解析は原理上非常に有効であるが, 画像の種類や信号対雑音比(SNR)が低いときなど実際には困難が多い. そこで本論文ではこのような場合に対するパラメータ推定のための新しい方法を扱う. この方法においては先ず, スペースバリアント(空間非一様)な動き劣化画像を扱う故に, 原画像のパラメータ評価領域としてサブブロック画像を設定する. 次にこのサブブロック画像において, その中心画素を原点とする2次元パワースペクトルを調べ, その値が90度方向の値との比で最大となる方向を劣化方向と定める. 更に, ケプストラム解析を行ない, 上で推定した劣化方向でのケプストラム値の極値探索により, 劣化長の候補を得る. そして, このいくつかの候補劣化長に基づいた復元画像の分散と観測画像の分散の比が, 一定範囲内で最大値を示すものを最終的に推定劣化長とする. ここで, この結果をより一層安定に得るために, 観測画像に対しLOG(Laplacian of Gaussian)オペレータを通して得たスケールスペース画像を対象とすることを特に提案している. サンプル画像によるこれらの具体的な実験の結果, 提案方法の有効性を確認できた.
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