2002 年 31 巻 2 号 p. 210-216
本論文では,被写体を回転させて撮影した複数枚の画像間で対応点の追跡を行う手法を提案する.被写体やカメラを移動させながら撮影した複数枚の画像を用いて被写体の形状を推定する方法として,画像間での対応点の軌跡を基に形状を推定する手法が提案されている.対応点の追跡の多くは画像中のテクスチャや色に注目して行われる.しかし画像中に光沢が含まれる場合にはそれが対応点を追跡する際の障害となる.提案手法では,撮影した画像から照明光のスペクトルに相当する成分を取り除くことで,鏡面反射の影響を含まない成分を求める.そして得られた鏡面反射の影響を含まない成分を用いて対応点の追跡を行う.実験では被写体を回転させて撮影したマルチバンド画像における対応点の追跡を行い,提案手法を用いることで鏡面反射の影響を受けることなく対応点の軌跡を求めることが可能であることを確認した.