画像電子学会誌
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論文
顔画像の基底ベクトルを用いた眼鏡なし顔画像の推定
齋藤 康之剣持 雪子小谷 一孔
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2002 年 31 巻 3 号 p. 336-344

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抄録
人の顔は眼鏡によって印象が大きく異なる場合がある.眼鏡を掛けた人とそうでない人とを同じように評価するには,眼鏡を掛けた顔の画像(眼鏡顔画像)から対象人物の顔の特徴を有した眼鏡を掛けていない顔の画像(眼鏡なし顔画像)を推定する必要がある.また,ワイヤーフレームモデルを用いて表情を合成するとき,剛体であり本来変形しない眼鏡フレームが顔表面の動きのシミュレートに伴って変形し,違和感を生じてしまう.そこで,表情合成を行う前にあらかじめ眼鏡フレーム領域を抽出・除去する必要がある.眼鏡なし顔画像を得るための方法として,眼鏡フレーム領域内の輝度値を補間する方法が提案されている.しかしながら,その処理の難しさからわずかながら違和感が残る.また,対象を眼鏡フレームに絞っているため,眼鏡フレームの影には対応できていない.本論文では,主成分分析により求めた複数人物の眼鏡なし顔画像集合の基底ベクトルを用いて眼鏡顔画像から眼鏡なし顔画像を推定する方法について述べる.提案方法により,「眼鏡を掛けていない顔」という共通の特徴に基づいて対象人物の眼鏡なし顔画像を良好に推定できることを示す.また,推定した眼鏡なし顔画像を主観的に評価するだけでなく,対象人物の眼鏡なし顔画像との類似度を求めて定量的に評価する.
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© 2002 一般社団法人 画像電子学会
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