抄録
主に,照明むらの影響を受けた文字や図形を含む画像を対象として,濃淡画像を2値化するためのしきい値設定法を提案する.濃淡画像内において,背景との濃度差が比較的大きく,かつ境界部分が長い領域は,切り出すべき対象になりやすいという仮定に基づいて,出現頻度が最も高いエッジ強度を持つエッジ画素の平均濃度をしきい値とする.各種の濃淡画像に提案手法を適用したところ,判別分析法と比較して,多くの画像ではほぼ同様な2値化結果が得られる一方,照明むらの影響を受けた文字画像では,文字部分が安定に切り出されることがわかった.提案手法は,外部パラメータを与えることなく,しきい値の自動設定が可能であり,また,処理過程も簡便であるので,実利用の観点からも適用が容易であると考えられる.