抄録
インタラクティブにキャラクタの操作を行う際にはリアルタイム性もしかることながら,ユーザが容易にキャラクタを意のままに動かせる手法が必要となってくる.そのような手法としてインバースキネマティクスはこれまでコンピュータグラフィクスで多用されてきている.しかし,これまでのインバースキネマティクスの手法において,もともとキャラクタに用意されている動作の特徴をふまえ,その傾向をインバースキネマティクスの操作に反映させるような手法はあまり提案されてきていない.本研究では階層構造を持つ三次元多関節物体で動作データを含むものを扱うための新しいインバースキネマティクス手法を提案する.インバースキネマティクス手法において必要となる,重み行列や各パーツの相対速度などといったパラメータは動作データから算出される.これらのパラメータを用いることにより,ユーザが仮想空間内のポリゴンモデルをクリック,ドラッグしたときのモデルの反応動作を決定する.本手法を用いることにより,ユーザは簡単な操作で元のキャラクタの動作の特徴を保ちつつ,その姿勢を編集することができるようになる.本手法は主にモーションキャプチャーなどで取り込んだ三次元人間データを扱うのに効果的である.