抄録
近年,ウェアラブルコンピュータ上で拡張現実感 (AR: Augmented Reality) を実現する研究が行われている.これにより,従来では困難であった屋外における拡張現実感が実現でき,観光名所などで建物への注釈情報を付加するといった観光ガイドとしての応用などが可能になる.一般に拡張現実感を実現するためには,現実環境と仮想環境との位置合わせが重要な課題となり,そのためにはユーザーの位置と姿勢を計測する必要がある.本論文では,位置の計測にハンドヘルド式GPSを,姿勢の計測に光ファイバジャイロを用いた屋外で利用可能なウェアラブル型注釈提示システムを提案する.提案システムでは,注釈提示に加えて静止時には姿勢センサの誤差を画像処理により補正し,高い位置合わせ精度の要求される仮想物体の重畳表示を実現する.また,実際にプロトタイプシステムを構築し,その有用性を示す.