2004 年 33 巻 1 号 p. 85-93
P2Pは不正なコンテンツ交換の道具であるとのイメージが一般に定着しているように思われる.確かにP2Pファイル共有サービスの普及により引き起こされている著作権の侵害やネットワーク帯域の占有は重大な問題であるが,コンテンツの保護・管理強化とユーザの意識改革を唱えるだけでは解決は難しい.ブロードバンド時代のコンテンツ流通を実現するためには.クリエータ・ユーザ双方の希望に適合するきめ細かなコンテンツの提供形態の実現と,それらに柔軟に対応可能なシステムが必要である.P2Pファイル共有システムについての基礎的な技術と問題点について述べるとともに,今後のシステムの方向性について議論し提案を行う.最後にP2P分野での注目すべき新たな取り組みについても紹介する.