抄録
非破壊検査の技術は,工業用,医療用共に欠かせないものとなっている.超音波による測定法は,波形によるAスコープが主流である.画像化においては1方向からの観測データの蓄積によるものが主流であり,Bスコープ,Dスキャン画像などがある.最近では,フェーズドアレー探触子を用いた装置が開発されているが,高価でありあまり普及していない.
実際の測定では,観測条件から投影方向を極少数に制限される場合が多い.そのような条件下でも内部構造を可視化するために,物体の性質や投影方向に関する知識をモデル化し,画像再構成を行う.モデルの表現には局在性の良いWavelet関数を用いる.局在化するまで計算を分離して行うことが可能となり,大型画像に対しても高速に処理可能になる.本手法は,観測されたエコーからの伝搬時間の行列表記とモデルから求められた再構成行列の積和演算で対象物の音速分布を求める.本稿では,様々なきずを持つ対象物を計算機シミュレーションにより再構成し,本手法の検討を行う.