2004 年 33 巻 3 号 p. 400-405
近年,ネットワークを用いた音楽配信ビジネスが成立しつつある中で,博物館・美術館や放送局といったコンテンツホルダが,既存の文化財や映像資産を蓄積・保存するアーカイビングを行う動きが活発になってきている.これまでは,著作権を含む権利処理の煩雑さやアーカイビングにコストがかかることから内部利用するに留まっていたが,ブロードバンドの普及や政府主導のIT戦略の推進により,蓄積したコンテンツの活用方法の検討が始まっている.しかし,コンテンツごとに適した利用を実現するためには,各コンテンツホルダの連携を促す仕組みや,利用者が容易にコンテンツの情報を知り得るシステムが必要である.本稿では,ディジタルアーカイブに関してコンテンツホルダの取り組みを報告するとともに,今後必要となってくるアーカイブシステムの方向性について提案を行う.