2005 年 34 巻 4 号 p. 398-404
本稿では,ロスレスアダマール変換の一手法を提案するが,そのための準備として,アダマール変換係数の最下位から2ビット目のビットパターンが変換基底画像を2値化したパターンになることを解明するとともに,アダマール変換係数の最下位のビットプレーンおよび最下位から2ビット目のプレーンは,それぞれ独立に逆変換すると整数値に戻る性質があることを明らかにする.この性質を利用することにより,4次または16次アダマール変換係数を整数化したときのロスレス化手法として部分再変換法を提案する.
提案する手法は線形アダマール変換係数を整数部と小数部とに分離し,小数部のみを再びアダマール変換して整数に変換し,これを線形変換係数の整数部に加算することによって,整数化したロスレス変換係数を得るものである.この変換処理と同じ処理をロスレス変換係数に施すと元のデータを復元できる.
この部分再変換法を2次元4×4次アダマール変換に適用して得られる,2次元4×4次ロスレスアダマール変換を示す.