抄録
3次元内部構造顕微鏡(3D-ISM)は,生体内部のフルカラー連続断面画像を取得できる装置であり,この画像を用いて生体組織の高精細な三次元モデリングを行うことが期待されている.しかし,そのために必要な領域抽出が,情報過多になったフルカラーの生体画像では難しくなった.そこで本稿では,生体のフルカラー画像における,対象組織の自動抽出手法を提案する.提案手法では,領域ベースの抽出手法に求められる,局所領域における領域判断の基準を,自動しきい値選定法を用いて自動的に生成する.その結果,位置により特徴が異なる生体組織に対しても,わずかな初期設定のみで半自動的な領域抽出が可能となる.本稿では,提案手法の有効性を示すため,ウマ卵巣画像を取得し,卵巣内構造物の一つである卵胞の抽出を行った.また,抽出結果を用いて三次元モデルを構築し,従来は不明りょうであった卵巣内部を可視化することを試みた.