2006 年 35 巻 2 号 p. 110-116
本稿では,胸部マルチスライスCT像からの肺野領域の自動抽出を行い,得られる肺 野領域内のスリガラス状陰影の候補領域を自動抽出する手法について述べる.孤立性異常陰影を有す るCT像の場合,スライス間のほぼ同位置にCT値の高い陰影が現れることが多いため,マルチスラ イスCT像で与えられる連続する胸部CT像間の相関性を調べることにより,スリガラス状陰影の候 補領域の自動抽出を行う.抽出された候補領域群に対し,それらが異常陰影であるかの判定を,特徴 空間内におけるマハラノビス距離を計測することにより行う.異常陰影の特徴量としては, ヒストグラムのひずみ度および同時生起行列より導出されるエントロピーと分散を用いる. 提案法を26症例の胸部CT像に適用し,良好な結果を得た.