抄録
著者らは,赤外線温度画像を用いた表情認識手法を提案した.そして,動きが伴う,典型的で実用上重要な場面である発声時において,5表情(「怒り」,「喜び」,「無表情」,「悲しみ」,「驚き」)について認識実験を行い,1人の被験者について90%という高い平均認識率を得た.しかし同手法が様々な人物へ適用できるかどうかについては十分には検討されていなかった.そこで本研究では,まず,発声時の表情認識に供するフレームを自動で特定でき,眼鏡着用者をも対象にして表情認識を行えるよう種々の改良を行った.そして被験者の数を7人に増やし,上記5表情の認識実験を行い,88%という高い平均認識率を得た.また,個人差が表情認識に及ぼす影響についても検討した.