2010 年 39 巻 2 号 p. 148-155
動画像をオブジェクト単位で扱う新しい画像処理技術が多く提案されており,なかでも映像シーケンス内の意味のある動オブジェクトを抽出する手法の必要性が高まっている.本稿では,動的輪郭モデルと Watershed アルゴリズムを組み合わせた新しい動オブジェクト抽出法を提案する.提案法では,まず動的輪郭モデルにより,エネルギー最小化の結果としての動領域輪郭を抽出する.次に,エネルギー最小化の結果に基づいた関数項を加えた地形図から,条件付のWatershed アルゴリズムにより,オブジェクトの抽出を行う.この動的輪郭モデルによる輪郭を考慮したエネルギー最小化項によって,抽出精度を改善するものである.計算機によるシミュレーション実験により,本提案法の性能を検証している.