抄録
パターン認識において従来の特徴ベクトルを用いて物体の特徴を表す手法と比べグラフを用いて物体の特徴を表す方法は豊かな表現力を持つ.しかし,グラフパターンの識別にはいくつかの難点がある.まずはグラフパターンに適用できる識別器が少ない.また,重要な役割を果たしているグラフマッチングは大きな計算量が必要である.これらの問題はグラフパターン認識の発展を大きく制約している.本稿では,木グラフの構造解析に注目して木グラフ構造間の遷移確率を定義することによりグラフマッチングに依存しないカーネル関数を提案する.また,シルエット画像の木グラフ表現を識別することにより提案手法の有効性を示す.