抄録
目的
医療と福祉を共有する重症心身障害児病棟では、看護職と指導職(介護福祉士、保育士、指導員)が協働している。その中で、指導職は半同性介護を行っている。利用者のQOLの視点から現状の半同性介護は継続の必要性があると考えられる。私たちは職員がどのようにそのシステムをとらえ、今後、同性介護を継続するにあたっての改善点や職種間の考え方を知ることを目的として職員の意識調査を行った。半同性介護:男性指導課職員のみが異性介助(排泄・更衣・入浴)を行わないシステム。ただし、男性看護師はこれに含まない。
方法
半構成的面接調査。調査内容は「現状のシステムのあり方と思い」とし、許可を得て面接内容を録音し逐語録を作成した。データから類似性のある内容を抽出し、コード化した後カテゴリー化した。
対象
重症心身障害児(者)病棟職員
倫理的配慮
研究の目的・方法、プライバシーの厳守・匿名性の保証、参加の自由意思・拒否しても不利益は被らないことなどを口頭および文書で説明し、同意を得た。
結果
カテゴリーを大別すると、〈組織体制に対する考え方〉と〈同性介護に対する考え方〉〈現状の問題点と解決策〉の3つとなった。
考察
現状のシステムのあり方については肯定的な意見が多くあった。半同性介護に対するカテゴリーのコードの中には、自分だったらどうか、親の立場だったらという、利用者目線に立った思いがあることがわかり、半同性介護の継続に対し肯定的であることが考察できた。しかし、その反面否定的な意見として、専門職としての責任感とリスク管理上の問題や女性の介護負担と考えられるコードもいくつかあった。また、職員間のコミュニケーション不足や倫理研修の不足が、多くの介護場面で影響を及ぼしており、そこから今後の問題と解決策が見えてきた。