抄録
SN比は簡単で便利な画質評価基準として一般に多くの場で用いられている.しかし,カラー画像のSN比をどう求めるかについては必ずしも充分な検討や理解がされていない.よく見かける方法に,色成分ごとのSN比(dB値)を求め,その算術平均をカラー画像のSN比とするものがある.しかし,SN比として誤差電力の対数を用いる場合,一旦,各成分のSN比を求めてからその算術平均をとるのと,各成分画像の誤差電力の算術平均を求めてからその対数をとるのとでは値が大きく異なることがある.本稿では,複数の色成分を持つ信号において,各成分のSN比の算術平均をもってそのSN比としてしまうことの問題点を指摘し,カラー画像の場合を例にとって,各成分画像の誤差電力の算術平均からSN比を計算する場合と,各成分画像のSN比の算術平均からSN比を導く場合とを比較し,両者の数量的相違について考察する.