石油枯渇や地球温暖化の対策の一つとして,バイオマスエネルギーが注目されており,著者らは不良環境下でも高いバイオマス生産性を示すエリアンサスに着目し,栽培研究を進めている.高いバイオマス生産性は,茎葉部の旺盛な生育が支えている.そこで,本研究では,大型の茎葉部を構成している分げつの生育の様相を把握するために,発育形態学的な解析を行った.その結果,茎葉部を構成する個々の分げつにおいて,上位3 枚程度の葉が同時に展開し,その生長速度が速いだけでなく,生長期間も長いため,多くの長大な葉身が形成されていた.また,分げつを解剖すると,葉身に比較して葉鞘は相対的に短いが,伸長した節間が多く,葉鞘の着生する位置が離れていた.このような生育の結果,茎葉部の受光態勢が優れ,高いバイオマス生産性を発揮していると考えられる.