画像電子学会誌
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論文
動きベクトルヒストグラムによる動領域情報を利用した動画コンテンツ特定手法
児玉 明
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2013 年 42 巻 5 号 p. 625-632

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抄録

ネットワークを利用した映像コンテンツサービスが普及し,コンテンツ検索技術に対するニーズが増加している.符号化動画コンテンツを対象とした場合,従来の空間情報を利用した検索手法では,一旦復号処理を要するため検索速度において課題を有する.また,従来の動き情報による検索手法では,局所的な動き情報を利用することができなかった.そこで本研究では,動き情報に基づいた動画コンテンツ特定手法を提案する.本手法では,動きベクトルのヒストグラムにおいて極大値に対応した動領域抽出を行う.動き特徴情報として,動領域数,領域面積,動き量,領域座標を利用している.更に,全ての動きベクトルによる手法(a),動きベクトルヒストグラム特定手法を利用した手法(b) を定義し,比較対象実験により,本研究提案手法(以下,提案手法(c)) の有効性を,検索精度,処理速度の観点から考察した.シミュレーション実験により,提案手法によるコンテンツ特定が可能であることを示した.更に,局所動き情報により手法(b) よりもシーケンス特定性能を向上できた.また処理速度は,システム全体で,手法(a),(b) よりそれぞれ,約27.64倍,約1.37倍の高速化,マッチング処理で,約462倍,約3.15倍の高速化を実現した.以上より,本提案方式の有効性を確認できた.今後の課題として,画面全体と局所的な動きによる検索手法などが挙げられる.

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© 2013 一般社団法人 画像電子学会
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