画像電子学会誌
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論文
状態遷移テーブル参照型算術符号 STT-coderの設計
上野 幾朗小野 文孝
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2014 年 43 巻 1 号 p. 62-70

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抄録

算術符号をハフマン符号と同様に,状態遷移先と符号とを出力する状態遷移テーブルを参照して符号化処理が実行できるようにすることにより,処理の簡易化を実現する2値算術符号器 STT-coderを提案している.本稿では,最初に最も簡易なレジスタ長3ビットの構成を例にとり,提案方式の動作を解説するとともに,実現される符号化性能を検証した.次に,シンボル発生確率の偏りがより大きい2値情報源( MPS確率が0.5から0.987程度)に対応できるよう,レジスタ長を6ビットに拡張した場合を考察し,その間で約99%の効率を維持できる8つの情報源モデル群(確率状態)に対し,有効領域幅に応じた最適な領域分割方法を設計した.このとき確定済み符号の与えるアドレスと有効領域の下限アドレスとの差を表す“オフセット”値の許容種類数がテーブルサイズを支配するパラメータとなるが,MPS確率の高い情報源と低い情報源ではその最適なパラメータ値が異なることを明らかにした.これにより対象範囲の情報源に対する平均的効率の最大化を実現する最適なオフセット数が存在することを導き,その設計結果に基づき,得られた符号化性能を示した.

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© 2014 一般社団法人 画像電子学会
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