抄録
モルフォロジーによる画像処理技術は画像処理やコンピュータビジョンにおける有効な処理手法として知られている.本論文はカラー画像のビジュアル特性を考慮した,従来とは異なるモルフォロジーアルゴリズムを提案する.これまでのカラー画像のモルフォロジー処理ではあらかじめ画素値ベクトル間の大小関係を定め,その大小関係がすべての画像に適用されてきた.このため,画像によってうまく処理できるケースと処理できないケースとが存在した.本論文では,画像の構造における画素間の目立ち具合を人の感覚に合うように定義した顕著度という概念を提案し,モルフォロジー処理への応用を図った.提案手法では,従来のモルフォロジー処理では得られなかった細い線状ノイズあるいはブロッブノイズの軽減・除去効果を,画像内容に関係なく実現できた.