画像電子学会誌
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論文
単色インキでベタ印刷された透明フィルムと紙の二層積上げ媒体を用いた印刷物の透過率モデル
徐 咏馳周 世生徐 錦林
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2014 年 43 巻 4 号 p. 588-594

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抄録
紙を基材とした印刷物の色再現は,大まかには紙の光反射とインキの透過光に対する選択吸収に依存する.紙に塗布したインキ層を紙から完全に分離することは困難であり,インキ層の透過率及び厚さを正確には測定できないため,印刷物のインキ層透過率の精度の良い表現モデルはこれまでに存在していない.本研究では,紙へのインキの浸透を無視し,単色ベタ印刷物を紙層とベタインキ層とを積み上げた二層媒体と考え,このインキ層を単色インキがベタ印刷された透明フィルムで置き換えてシミュレートする.まず,透過ヘイズを導入して,インキ層における光の散乱特性を定量的に測定する.続いて,上層媒体からの透過光を平行光と散乱光とに分解する.最後に,重ね合わせの原理を利用して,この2つの光の紙への透過の影響を合成して,フィルム上のインキ層と紙とを積み上げた二層媒体の透過率モデルを提案する.これにより,この二層媒体の透過率,特に紙に積み上げられた上層媒体の透過率予測を可能とし,本モデルとKubelkaの二層媒体モデルのそれぞれの予測値を実測値と比較し,本モデルの方が精度がよいことを確認した
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© 2014 一般社団法人 画像電子学会
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