画像電子学会誌
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論文
対称関係に基づくアピアランスと相対位置の拘束条件を用いたPictorial Structureモデルにおける姿勢推定の高精度化
東 篤司福水 洋平泉 知論山内 寛紀梅村 充一荻内 康雄東久保 政勝
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2015 年 44 巻 1 号 p. 67-76

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抄録
人物の姿勢推定について,従来の木構造のPictorial Structureモデル(以下PSモデル)に対して独自の拘束条件を適用し,人物の姿勢を再推定する手法を提案する.従来のPSモデルは,体の対称部位のペアについて片方を重複して両方に推定する二重推定(double-counting)と,背景に対する脆弱性が問題とされている.それらに対して次の二つの手法を考案する.(1)対称関係の部位ペアについて色分布の類似度を算出し,それをアピアランス拘束として適用して背景への誤推定を防ぐ.その際,部位ペアが同じ場所を選べば尤度は高くなるため二重推定を誘発してしまう.それを防ぐために対称部位の距離に基づいた補助拘束を導入する.(2)拘束条件において,人間の自然な姿勢を事前知識として利用することにより,間違った不自然な姿勢の推定を抑制する.その際,典型的な姿勢を意味する姿勢クラスタを用いるが,部位間の相対位置に基づいた拘束(相対位置拘束)に用いるテスト画像の帰属クラスタを単一のPSモデルのみから求めることにより,計算量の増加を抑える.従来法との比較実験では,提案手法は正当部位率(PCP:percentage of correct parts)が80.0%と最も優れた性能を示し,その有効性を確認した.計算時間はPSモデル原典の手法の1.25倍に抑えられ,他の改良手法と比較して高速かつ高性能である.
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© 2015 一般社団法人 画像電子学会
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