本稿では, 劣化した絵画の修復目安作成を目的とし, 絵画画像を対象としたインペインティングを提案する. 通常, インペインティングは補完に画像の事前知識を必要としないため, 広範囲の画像に適用できるというメリットがある. しかしながら, もし対象画像を限定し, その事前知識に基づく処理を用いることができれば, 適用範囲の広さと引き換えになるものの, インペインティングはより有効な補完結果を得られると考えられる. 提案法は, 補完処理に絵画技法に基づいた平滑化と, 絵画の持つ微細な凹凸を質感のテクスチャとして検出・反映させることで, 絵画特有の質感を自然に再現する.