抄録
近年,情報技術の発達に伴い,幾何学模様の情報伝達手段としての役割が拡大している.例えば,バーコードは印刷物からコンピュータに情報を取り込む方法として広く用いられている.本文では,単純な図形を組み合わせてできる幾何学的な模様に情報を埋め込んで伝達する方法を提案する.生成される模様は独特の構造を持つので,文書などに印刷されたとき,主観的な違和感を小さくできる可能性がある.この模様の幾何学的な特徴を利用して,埋め込まれた情報を簡単な処理で復号する方法を与える.また,この方法を文書の認証に応用した例を示す.計算機シミュレーションにより,民生用のプリンタとスキャナを用いて取得したデジタルデータから,模様に埋め込まれた情報を精度よく検出できることを確認した.