画像電子学会誌
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論文
レートひずみ理論に基づいた画像のサブバンド符号化における空間ー周波数領域の最適分割
宮崎 春彦亀田 昌志
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2019 年 48 巻 3 号 p. 364-374

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抄録

画像のサブバンド符号化において,与えられた入力画像と符号化レートに対して,二次元周波数領域の分割と各サブバンドへの量子化の両者を適応的に行う手法として最適帯域分割が提案されている.この手法では,低処理コスト実現のために分割数を固定していることから,分割数に制限を設けず帯域分割を適応的に行うWavelet Packetと比べると,高レートにおいて符号化性能が劣化する問題があった.本論文では,分割数を増加させることなく,最適帯域分割の符号化性能を改善することを目的として,サブバンド信号の空間的冗長を除去するための空間領域縮減を新たなパラメータに加えたレートひずみ理論に基づいた空間-周波数領域の最適分割を提案する.このとき,帯域分割,量子化,空間領域縮減の最適化は相互依存の関係にあるため,指定された符号化レートに対して反復演算を行うことで,逐次的に各パラメータの最適解を決定するアルゴリズムを導いている.提案手法を実画像に適用した結果,最適帯域分割からは最大2[dB] の符号化性能の改善が得られ,さらに処理コストを約0.76倍に抑えながら,すべての符号化レートでWavelet Packetの性能を上回ることができた.

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© 2019 一般社団法人 画像電子学会
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